2024.06.05~コラム~防水工事の種類とタイミング
アパートやマンションには屋上やベランダなど防水が施工されている箇所が多数見られます。
建物における防水とは、屋上やベランダなど雨水などの影響を受けやすい箇所に防水層を形成して保護する工事です。
建物を漏水などから守り、長持ちさせるためには防水が大変重要になってきます。
今回は防水の種類とメンテナンスのタイミングについてお伝えしてまいります。
防水工事の種類と耐用年数
防水工事は、主に3種類に分けることができます。
・塗膜防水
・シート防水
・アスファルト防水
また、それぞれに異なる種類の工法がありますので詳しく説明します。
■■■塗膜防水■■■
ウレタン防水・・・液体状のウレタン樹脂を塗り重ねることで防水層を形成します。ウレタンとは正式にはポリウレタンという柔軟性・防音性・衝撃吸収性に優れたプラスチック樹脂素材です。硬化するとゴムのような材質に変化し、密着性が高いです。歩行や運動などあらゆる用途に適し、比較的費用が安いのも特徴です。手作業で塗布するため、職人の技術が必要とされます。耐用年数は12年程度、紫外線の刺激から守るためには定期的なトップコートの塗布が必要です。
FRP防水・・・FRP(繊維強化プラスチック)を使用して防水層を形成します。ガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂を組み合わせることで軽量でありながら摩擦・摩耗に強いのが特徴です。塗膜防水なので仕上がりは継ぎ目のない硬い手触りになります。紫外線の刺激に弱く、下地の動きに追従できないためひび割れを起こしやすいというデメリットもあります。耐用年数は10年程度。こちらも紫外線の影響を受けにくくするため定期的なトップコートの塗布が必要です。
■■■シート防水■■■
塩ビシート防水・・・塩化ビニール製樹脂シートを接着剤や機械などで貼り付けて防水層を形成します。密着工法を機械固定法があります。
・密着工法・・接着剤でシートを貼り付ける工法。対候性に優れますが、直接貼り付けるため下地の影響を受けやすく下地が水分を含んでいるとシートの膨れなどが発生するといった不具合も見られます。
・機械固定法・・防水シートを鋼板やビスで固定する工法。下地とシートを直接接着しないので躯体のひび割れや振動などの影響を受けません。接着用の層もいらないので軽量かつ意匠性にも優れています。欠点は躯体に穴を開けるので作業時の騒音と躯体の強度が必要な事です。
ゴムシート防水・・・合成ゴムを使用したシートを貼り付ける工法です。伸縮性に優れていて補修がしやすいです。塩ビシート防水よりも価格が低く低コストですが、シートが薄いため鳥のついばみや衝撃に弱いという特徴もあります。
いずれも耐用年数は13年程度となります。
■■■アスファルト防水■■■
合成繊維不織布のシートに液状に溶かしたアスファルトを染みこませたアスファルトルーフィングを二層以上に塗り重ねる工法です。水密性や耐久性が非常に高く施工の不具合が出にくいのが特徴です。ただし、施工中、アスファルトを溶かすので高温と臭いが発生します。また非常に重いので建物への負担も大きいです。耐用年数は20年程度と防水の中では一番の長持ちと言えます。
防水工事メンテナンスのタイミング
屋上やベランダなど防水が劣化してしまうと雨漏りなどの原因になってしまいますのでメンテナンスは非常に重要になります。
上記でご説明したように、それぞれの防水工法により耐用年数は異なりますが、年数だけでなく定期的な点検により日々確認することが大切です。
主に現れてくる劣化症状としては、色褪せ・ひび割れ・浮き・膨れ・笠木の色褪せや変形、シーリングの切れなどです。
これらはすべて目視で確認できますので、是非オーナー様ご自身でも確認することをおすすめします。
もし症状が出ていたら防水機能が低下していますので早めに対応して下さい。
劣化が進行して雨水などが入り込んでしまうと、雨漏りが発生し建物自体への影響も出てしまい大掛かりな工事へと繋がってしまいます。
早めの対応でコストの削減を図りましょう。
また、メンテナンスの際は信頼できる業者をお選びいただくとこも重要です。
見積りは数社からしてもらうこと、また値段だけでなく見積りの内容についても精査することをおすすめします。
防水層を守ることは建物を守ることです。
是非参考にして頂けたらと思います。